New Rousseau Machine
次世代合意形成システム
ABOUT
集団でものごとを決める時に使用される方法として多数決がある。文化祭の出し物から選挙など、あたかも集団の意思を表現する最高のツールとして違和感なくあらゆる場面で使われている。
しかし3つ以上の選択肢が発生する可能性があることを多くの人は知らない。集団が望む選択肢が、少し異なる選択肢として分けられてしまった場合、集団としては人気のない選択肢が選ばれる場合がある。
集団の意見を集約するルールは多数決以外にも多くある。実はそれらを使うと投票内容は同じでも採用される選択肢が変わるのだ。
多層都市「幕張市」プロジェクトでは、投票内容に合わせて集約ルールを変更できる合意形成システム「New Rousseau Machine」を開発している。
この作品は、そのシステムを利用し集約ルールによって集団の運命が変わっていく様を表現している
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生態系へのジャックイン展
会期:2021,07,24-08,08
会場:日本庭園「見浜園」
住所:千葉県千葉市美浜区ひび野2-116 県立幕張海浜公園内
URL :https://2021.metacity.jp/
CAPTION
CREDITS
CONCEPT
投票結果を集約するルールが変わると、最終的な投票結果も変わる可能性、つまり異なる民意が同時並行に存在し、そこへの触れ方が変われば、世界が変わる可能性がある。それをここでは、民意の「シュレディンガーの猫」的現象と呼ぶ。《New Rousseau Machine》は、世論や投票対象以前に、民主主義を支える道具立ての重要性とその危険性について投げかける。
次世代ガバナンスシステム「New Rousseau Machine」(以下、NRM)を用いて投票実験し、その結果を可視化した。アーティストや研究者、建築家や市民など有志10名が、3つの選択肢をそれぞれ持つ3つのアジェンダに対して投票。存在しうる27つの選択肢(つまり世界線)のうち、4つの集約ルールごとに選ばれた世界線があり、それらが同時に存在する様子を公共事業の象徴とも言える工事現場で使用する水糸やネジ、仮囲い、テプラで表現している。
NRM は、ありうる都市のカタチを探求するリサーチコレクティブ「METACITY」が研究開発を進めている。実在しない行政区「多層都市『幕張市』」を作るアートプロジェクトでの利用を想定した、ブロックチェーンベースのシステムになる。液体民主制など多種多様な集約ルールや意思決定プロセスを自由に選択でき、またAIや自然などの人間以外の「意思」も反映できる。
各サークルは、アジェンダの選択結果を表現したサークルの中央にある1本のネジと、それを囲む10名の投票者を表現した10本のネジで構成。サークルは中央から放射線状に配置し、2階層目のサークルが最初のアジェンダの選択結果であり、続く3階層目が2つ目、4階層目(最外縁)が3つ目のものとなる。オレンジ色の水糸は直接民主制(多数決)、グリーンは直接民主制(ボルダ)、ピンクは間接民主制、イエローは液体民主制の集約ルールを表現している。一本一本の意味は集約ルールごとに異なるが、最も本数の多い選択肢がそれぞれで最終的に選ばれた世界線となる。
(Ryuta Aoki)